社外役員(社外取締役・監査役)

社外取締役等の設置義務

2021年3月1日から施行された改正会社法により、上場会社等において、社外取締役の設置が義務化されました(会社法327条の2)。

また、東京証券取引所では、一般株主保護の観点から、上場会社に対して、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役)を1名以上確保することを求めています(企業行動規範「遵守すべき事項」)。

コーポレートガバナンス・コードの要請

22015年6月1日から上場会社に適用されている「コーポレートガバナンス・コード」では、「独立社外取締役の有効な活用」として、以下の原則を定めています。

(原則4-8)

独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。
また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

このように、最近では、企業のガバナンス強化や株主保護等の観点から、社外役員の役割が重要視されています。

ダイバーシティの確保

また、コーポレートガバナンス・コードでは、「取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】として、取締役会がジェンダー、国際性、職歴、年齢などにおいて多様性を確保した構成になるよう求めています。

(原則4-11)

取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。
取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。

特に最近では、諸外国と比較して、日本企業において女性取締役の割合が低いことが問題視されており、以下のような動向が見られます。

女性役員比率の向上

(1)コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム

金融庁と東京証券取引所が共同で事務局を務める「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」では、2023年4月26日付の意見書(6)「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」において、「女性役員比率の向上(2030年までに30%以上を目標)等、取締役会や中核人材の多様性向上に向けて、企業の取組状況に応じて追加的な施策の検討を進める」ことを提言しました。

statements_6.pdf (fsa.go.jp)

(2)女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)

「すべての女性が輝く社会づくり本部」「男女共同参画推進本部」が公表した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」では、「企業における女性登用の加速化」「プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標の設定等」として、以下の方針が記載されました。

企業における女性登用を加速化するための重要かつ象徴的な第一歩として、プライム市場上場企業に係る女性役員比率に係る数値目標を設定し、女性役員比率の引上げを図る。
このため、令和5年中に、取引所の規則に以下の内容の規定を設けるための取組を進める。
・2025 年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める。
・2030 年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す。
・上記の目標を達成するための行動計画の策定を推奨する。
また、コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラムに基づき、女性役員比率の向上等、取締役会や中核人材の多様性向上に向けて、企業の取組状況に応じて追加的な施策の検討を進める。【内閣府、金融庁】

jyuten2023_honbun.pdf (gender.go.jp)

議決権行使助言会社の運用基準

上記の動向に加えて、資本市場においても、議決権行使助言会社が女性取締役の選任の有無や割合等を議決権行使基準に設定するなど、役員の多様性の確保が重要な課題とされています。

取締役会における多様性の確保は、監督機能の強化やイノベーションの向上にも繋がる重要な要素であり、今後も女性役員の活用を含めた対応が重視されるものと思われます。

当事務所には、企業法務を取り扱う弁護士(女性を含む)が複数所属し、上場会社の社外取締役経験者(IPOを含む)もおります。

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