雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
不合理な待遇差の解消
◎ パート・有期労働者
(1)「同一労働同一賃金」の原則
⇒ 同一の事業主に雇用される正社員とパート労働者・有期雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けることを禁止し、「均等待遇」「均衡待遇」を義務付け
(2)均等待遇
前提条件が同一の場合、同一の取り扱いをすること
⇒ 職務内容や、雇用の全期間にわたる人材活用の仕組み・運用などが正社員と同一のパート労働者・有期雇用労働者について、基本給・賞与その他の待遇に関する差別的な取扱いを禁止。
(3)均衡待遇
前提条件が異なる場合、その違いに応じた取り扱いをすること
⇒ パート労働者・有期雇用労働者に関し、基本給・賞与その他の待遇のそれぞれについて、①業務の内容、②責任の程度、③配置変更の範囲、④その他の事情を考慮して不合理な差を設けることを禁止。
Q1 正社員とパート労働者、有期雇用労働者の間で条件に差をつけることはできないのか?
A1 職務内容や配置、責任等に違いがあれば、合理的な範囲を差をつけることも可能。
Q2 「合理的」な差といえるかどうかは、どのように判断されるのか?
A2 以下のような事情を総合的に考慮して決定される。
① 業務内容・責任の程度
業務の内容(中核的業務が同一か)、与えられている権限の範囲(単独で契約の締結が可能な金額の範囲、管理する部下の人数、決裁権限の範囲など)、トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応の程度、ノルマなどの成果への期待度など
② 人材活用の仕組み(職務内容・配置の変更範囲)
転勤の有無・範囲、職務内容の変更の有無・範囲、配置変更の有無・範囲など
★ 正社員とパート労働者・有期雇用労働者の労働条件に差をつけたい場合には、それぞれの 職務内容をできる限り差別化する必要がある。
★ 今回の法改正により、フルタイムの契約社員(有期雇用労働者)にも「均等待遇」の規定(パートタイム労働法8条・ 9条)が適用され、正社員との差別的取り扱いの禁止が明確化された点に留意。
★ より詳細な考え方については、同一労働同一賃金ガイドラインを参照。
◎ 派遣労働者
【従来の枠組み】
派遣労働者と派遣先の通常労働者の待遇については、派遣元の事業主に対し、「職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験を勘案し、当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない」と規定されていた(配慮義務)。
【働き方改革による変更点】
派遣元事業主は、「職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」と規定された(禁止規定に強化)。
⇒ 具体的には、派遣元事業主は、以下のいずれかの対応を取る必要がある。
① 派遣先の労働者との均等・均衡待遇(派遣先に合わせる)
② 一定の要件を満たす労使協定による待遇(協定によって派遣元の制度を基に決める)
労働者への待遇に関する説明義務の強化
◎ 有期雇用労働者について、事業主に対し、本人の待遇内容・待遇決定に際して考慮した事項に関する説明義務を新設
◎ パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、事業主に対し、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説明を行う義務を新設。
⇒ 労働者からの要請があった場合のみ。
◎ 上記について労働者が説明を求めたことを理由として、事業主が解雇その他不利益な取り扱いをすることを禁止。